別居の子供には従来の「80%評価減」が適用されない事例が続出!
「小規模宅地の特例」が2010年度税制改正で厳格化された影響が水面下で進行中
夫が他界し、都市部の自宅をそのまま相続したら、多額の相続税を支払わないとならないことになり、自宅を売却するしかなかった・・・
そんな、笑えない話を救うために制定されていたのが「小規模宅地の評価減の特例」です。
従来は、配偶者が一部でも相続すれば、別居している子供
の相続分にも「80%評価減」が適用されました。
しかし、税制改正後は、次の親族が相続により取得したケー
スでしか「80%評価減」は認められなくなりました。
1.配偶者
2.同居の親族
具体例
母親と長男が母親所有の自宅に同居していて、母親が他界したとき、長男がその自宅を引継いで住み続けるケース
3.持家なしの別居親族
具体例
母親が他界したとき、賃貸マンションに住んでいたその自宅を引継いで保有するケース(但し、母親の他界以前に3年以上「借家住まい」であること)
それなら、配偶者が全財産を相続すれば「80%評価減」の恩恵を受けられるのでは・・・
確かに、夫婦の一方が他界する「一次相続」では、配偶者が自宅を引継ぐことで相続税課税を先送りすることができます。しかし、残された配偶者が他界する「二次相続」が大問題です。
子供が別居していて、実家を引き継がなければ「80%評価減」を受けることができません。
1億円の自宅土地の評価額を一次相続で2000万円に引下げて課税対象外になっても、二次相続では課税対象となる可能性が高くなります。
その上、現在議論に上がっている、基礎控除額減額という税制改正案(相続人が配偶者と子供二人の場合:現在8000万円⇒4800万円に減額)が追い打ちをかけると、確実に相続税課税の可能性が上がるので要注意です。
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役員に対する給与(報酬は)決算後、3ヶ月以内に決定して、原則変更はしてはいけません。増減等すると、役員賞与とみなされてしまいます。
役員賞与は税法上、損金(経費)として認められなく、役員はその報酬に対し源泉を徴収されますので、二重に課税されることとなり大変負担が大きいものであります。
今回は期中の報酬の増減以外で実務上役員賞与として、みなされてしまう例を紹介します。
1. 役員のみで社員旅行・海外渡航をする場合
その交通費や宿泊費が費用になるかどうかは会議や視察の実態により判断されます。
特に成果物もなく実態に乏しい場合には、役員賞与となる可能性があります。
2. 社宅を利用している場合
役員に対する社宅は半分は会社が負担してあげてもよいこととなっております。
それ以上の負担は役員に対する賞与となります。
3. 役員に対する貸付金を免除する場合
本来返してもらうはずの社長様に対する貸付金を放棄すると、社長様に経済的利益を与えたということでその放棄した額が役員賞与として認定されてしまいます。
4. 社長の出身校より募金の依頼があり、会社が寄付金を負担した場合
役員賞与となります。
5. 社長が市議会議員の選挙に立候補して、その選挙資金を負担した場合
役員賞与となります
※その他、役員に対する経済的利益は役員賞与の対象となります。
役員賞与で経費として認められるのは、株主総会の日から1か月を経過する日までに「いつ」「だれに」「いくら」賞与を支給するかを税務署に届け出た上で支給する「事前確定届出給与」に限られています。
~自分の会社は安全?・その1~
今回から具体的に経営分析の指標をみていきます。まずは「安全性」を分析する手法です。「安全性」というのは、会社が倒産するおそれがないかどうかということで、簡単に言うと、通常の営業活動だけでなく、何か突発的な事が生じても、充分な支払いができる状態にあるかということを分析するものです。
その中でよく使われる指標が、下記の「流動比率」です。
流動比率=流動資産÷流動負債×100(%)
1年以内に資金化できる流動資産と1年以内に返済しなければならない流動負債の比率で、支払能力をみる指標です。流動資産が流動負債の2倍(200%)あれば理想と言われています。
ただしすべての流動資産がすぐに資金化できて支払にまわせるわけではないので、短期的な支払能力を見るには「当座比率」という指標を用いてさらに詳細に分析します。
当座比率=当座資産÷流動負債×100(%)
当座比率は「1:1の原則」や「酸性比率」などと呼ばれ、100%以上あれば支払能力に問題ないと判断できます(なお英語では「Acid Test」と言い「acid」は「酸性」であるので直訳して「酸性比率」と呼んでいますが、「Acid Test」は、もともと硝酸を用いて金の純度を高めていた手法の名称で、そこから派生して「厳しい検査」という意味を持っています)。
当座資産には、現金、預金、受取手形、売掛金、有価証券などが含まれます。流動資産と当座資産との比較で言えば、主な資産では棚卸資産を含むか含まないかという点が挙げられます。
具体的に、「トヨタ自動車」を例にして、計算してみましょう。

流動比率=4,310,629÷3,302,328×100=130.53%
当座比率=2,429,527÷3,302,328×100=73.57%
参考として、財務省の「法人企業年報特集(平成22年度)」より抜粋した全国の平均割合を掲載します。
|
全産業 |
製造業(うち自動車 |
非製造業 |
流動比率(%) |
131.5 |
141.5(138.8) |
127.1 |
当座比率(%) |
82.5 |
90.7(90.2) |
78.9 |
製造業(自動車)の割合とトヨタ自動車の割合を比較すると、トヨタ自動車は流動比率も当座比率も全国平均より劣っていることが分かります。また、約10年前(平成14年3月31日)のトヨタ自動車の流動比率は174.91%、当座比率は124.91%でしたから、過去の実績と比べても悪化していることが分かります。もちろん、最終的には、いろいろな指標などを総合的に検討して、問題があるかどうかを判断することになります。トヨタ自動車の場合も「短期的な支払能力に問題があるかもしれない」という点をおさえて、更なる分析にとりかかることになります。
流動比率や当座比率を用いて分析する際の注意点ですが、業種によって特徴が異なるので他業種との比較は意味がなく、上記のように同業他社や過去の実績との比較が効果的です。ご自分の会社を分析する際にも、「法人企業年報特集」に記載されている業種別の平均を参照したり、過去の実績と比較して検討すると有益な分析ができますので、早速、ご自分の会社の支払能力を分析してみてください。
東日本大震災以降、寄付の意識がかなり高くなったと思われます。しかし、「その寄付金がどのように使われているのだろうか。」という声をよく聞きます。そこで、個人が、寄付金の使い道や寄付先を指定できる制度として、「ふるさと納税」という制度があります。
「ふるさと納税」とは、自分が貢献したいと思う市町村への寄付金のことで、個人が、市町村へ寄付を行なったときに、寄付金が、所得税では2千円を超える部分、住民税では、5千円を超える部分から一定の控除を受けることができる税の優遇制度です。
この制度は、出身地以外の都道府県及び市町村にも、「これからかんばってほしい」等の個人の思いで自由に、市町村を選択することが出来ます。
このように、ふるさと納税は、地域社会に貢献でき、税金が優遇される制度です。みなさまもこれを機に「ふるさと納税」という手段を使って税の使い道を選んで、社会貢献されてみてはいかがでしょうか。
また、市町村によっては、寄付してくれた特典として特産品をプレゼントしてくれる市町村もあります。
例えば、
山形県の庄内町...(5千円以上の寄付) お米やお酒などの中から1つ
山形県塩竈市...(10万円以上の寄付)生マグロブロック
大阪府池田市...(1万円以上の寄付)5千円相当の石鹸、ビリケンさんグッツ、インスタントラーメン等
このように、ふるさと納税は、地域社会に貢献でき、税金が優遇される制度です。みなさまもこれを機に「ふるさと納税」という手段を使って税の使い道を選んで、社会貢献されてみてはいかがでしょうか。
税理士・会計士試験合格情報誌として有名な「税経セミナー」という月刊誌の11月号の特集に執筆した記事が掲載されました。
特集

「知っているようで知らない!?税理士・公認会計士の仕事」
人に頼られたり、人に喜ばれることが好きな人にとっては最高の資格 / 木下陽介
という内容です。
税理士を目指したきっかけ、受験時代の苦労話、実際の税理士としての仕事などについて執筆いたしました。
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